着物中毒

ご自分のホームページで着物生活について書かれているのを見て、書籍化をずっと待っていました。掲載されている所有の着物と帯、小物の組み合わせがなんとも素敵です。さすが創造者（クリエイター）だと感心しました。特に、新聞、雑誌の取材で掲載された縞の着物、モノクロでもそのセンスの良さ、美しさ、似合っている着こなしが印象的だったのですが、今回カラーで見てため息が出ました。これ着て生まれてきたみたいですね。とても素敵です。本当に。やさしくあったかい文章で、読んでいると気持ちが休まります。著者は「第一次着物期」から人生の中で着物とのかかわりを時期に分けて楽しく紹介しています。コンパクトにまとまった自伝的な内容でもあり、今後著者の伝記が書かれる場合は貴重な一次資料として多いに利用されそうです(笑)。やはり好きなものを「どう好きか」書いているので、読んでいてとても楽しいです。長い闘病生活、芝居でこさえた大借金(具体的な金額をはじめて知りひっくり返りました。この額を2年で完済ってただごとではないですよ！）や、親や周囲との確執と和解・・・著者が長年かけて莫大な投資(笑)をした結果が、今の力の抜けた「楽しく美しい、気軽な着物ライフ」であったことを本当に感謝したいです。基礎を知らないのは恥ずかしいけど、ルールでこりかたまるのは不自由。私たちの少し前の世代は日常的に着ていたわけで、もっと自由に！とやさしく提唱しています。この本を読んで、著者に着物を買いに一緒に行っていただきたくなりました。きっとそれぞれに似合う組み合わせを上手に選んでくれそうです。着物っていいな、優しい気持ちで生きるのっていいな、と暖かい気持ちになりました。がんとの闘病が続く中、早く元気になっていただいて、着物ライフを楽しんでいただきたいと願ってやみません。